ナトリウム黒鉛炉

ナトリウム黒鉛炉「SRE」

ナトリウム黒鉛炉「SRE」(Credit:USDOE)

ナトリウムを冷却材とする原子炉においては、その中性子の減速能力の小ささや除熱能力の高さから高速中性子炉に用いられる事が多くあります。過去にはナトリウム冷却を冷却材とする原子炉の研究のため、ナトリウム原子炉実験「SRE」が1957年4月に米カリフォルニア州のサンタスザーナ研究所にて実施されました。これはナトリウム冷却の熱中性子炉(黒鉛炉)という今では見かけないタイプの原子炉です。これは原子炉容器の加圧が不要で、熱伝導率が高く、中性子を吸収しづらく中性子経済の良いナトリウム冷却の技術実証を行うための原子炉でした。減速材に使用された黒鉛は熱容量が大きいため、ナトリウムと併せて高温での運転が可能な熱中性子炉でした。

また、この「SRE」を元に米ネブラスカ州に建設されたハラム原子力発電所(HNPF)の原子炉にもナトリウム冷却黒鉛減速炉が採用されました。発電効率は40パーセントと良いものでありましたが、当時ナトリウムの取り扱いが難しく、またコストも多くかかるため「SRE」と「HNPF」以外で採用されることはありませんでした。しかしながらこのナトリウム黒鉛炉で得られた技術や知見はその後のナトリウムを用いた高速増殖炉の研究開発に大きく役立ちました。

ナトリウム黒鉛炉「SRE」

ナトリウム黒鉛炉「SRE」施設全景(Credit:USDOE)

ナトリウム黒鉛炉「SRE」

ハラム原子力発電所全景(Credit:USDOE)

BOOTHにて宇宙開発や原子力関連の同人誌を販売しております。

宇宙開発・原子力・核兵器の同人誌10冊セット 核物質の同人誌 ~知られざるウランとプルトニウムの科学・技術~ (3部作セット)